パーキンソン病について

▶治せる人になる

▶治せる人を育てる

▶治せる人による組織を作る

3つの決意で社会貢献を目指す

かねこ脳神経外科リハビリクリニック部長・かねこリハ研究会代表の伊藤哲朗です

以前にもお話していたように、本日はパーキンソン病について少しお伝えしたいと思います。

【公衆衛生学】

▶わが国では人口10万人あたり150人程度が罹患

▶50歳以後発症が増え,70歳以降は概ね100人に1人の有病率

文献) Yamawaki M,Kusumi M,Kowa H et al:Changes in prevalence and incidence of Parkinsons disease in Japan during a quarter of a century.Neuroepidemiology 32:263-269,2009

【病理学】※極力主観を排除する為,原著そのままの文章を載せています.長くて読みづらいと思います…

 運動障害は中脳黒質のドパミンニューロンの変性で生じるが,他にもコリン系,セロトニン系,ノルアドレナリン系などの中枢神経系が系統的に変性,脱落する.末梢の自律神経系にも変性を生じる.PDにおける多彩な臨床症状は,末梢から中枢に及ぶ広範な神経系の変性が背景となる.神経変性に際し,Lewy小体と呼ばれる封入体かその類似体が出現するのが特徴である.PD以外にも、起立性低血圧を主徴とする純粋自律神経失調症,就寝中に叫んだり,荒々しい寝ぼけ症状を伴う夢の行動化を特徴とするREM睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder:RBC),物忘れや幻覚が早期から顕在化するLewy小体型認知症(dementia with Lewy body:DLB),などが知られているが,いずれも同じLewy病理を呈する同一病態の疾患群(Lewy小体病)である.

過半数の症例でLewy病理は末梢から中枢へと上行する.すなわち,PD症状は便秘や立ちくらみなどの末梢の自立神経障害から始まり,延髄,橋(RBD),青斑核(うつ)などを巻き込みつつ上行し,中脳の黒質がある程度障害された時点でPD特有の運動障害が出現する.更に進展して大脳が障害されると幻覚・妄想や認知機能障害が明らかとなる.嗅覚障害に始まって病態が上,下行する例,大脳皮質に始まって下行する例もある.

文献) 榊原 健一.神経治療 Vol.33:313-317,2016

【診断】

 PD発病は運動症状が発現した時点とされるが,実際には便秘,頻尿,起立性低血圧などの自律神経障害,腰痛や下肢痛などの感覚障害,RBD,嗅覚障害,うつ,不安,パニック等,一部の非運動症状が先行する.従って運動障害をもとにPDと診断した時点では既に多彩な非運動症状が出現しており,患者はしばしば運動以外の症状を主訴に受診する.(一部割愛)

 発症後の経過であるが,運動障害発言後5年間程度運動症状はドパミン補充療法によく反応して改善し,ハネムーン期と呼ばれる.その後,レボドパの副作用としてウエアリングオフ,ジスキネジアなどが出現するようになり,治療が困難となる.(一部割愛)

 更に進行すると認知機能障害,幻覚,妄想が顕在化し,運動障害の重症化と相まって介護困難となる.このような進行期には身体の前傾や側屈を呈する姿勢異常も顕在化する.姿勢異常は早期から見られ,動作緩慢,仮面様顔貌とともに,患者が診察室に入ってきた瞬間にPDの診断名を思い浮かべる契機となる.(一部割愛)

※近年,脳内ドパミン終末の変性を検出できるドパミントランスポーターイメージング(ダットスキャン)が利用できるようになった.これは黒質,線条体におけるドパミンニューロンの障害を反映するが,PDに限らず,多系統萎縮症などの非定型パーキソニズムや多発性脳梗塞でも異常を呈する.(一部割愛)

※ダットスキャンの費用:(負担割合1割)約9000円,(負担割合3割)約26000円

※MRI検査の費用:(単純検査:負担割合1割)約3000円, (単純検査:負担割合3割)約8000円

【治療:日本神経学会が作成したParkinson病治療ガイドライン2011に示された治療導入時の薬物選択のアルゴリズム】

文献) 日本神経学会(監修),「パーキンソン治療ガイドライン」作成委員会(編集):パーキンソン病治療薬ガイドライン2011.医学書院,東京2011

【特定疾患について】

 原因が不明で治療方法が確立していないいわゆる難病のうち,厚生労働省が定める疾患を「特定疾患」といいます.特定疾患については,治療が極めて困難であり,かつ,その医療費も高額に及ぶため,医療の確立及び普及を図るとともに,患者の医療費の負担軽減を目的とした「特定疾患治療研究事業」が昭和48年から実施されています.

【パーキンソン病(指定難病6)】

<診断基準>
以下の診断基準を満たすものを対象とする.(Probableは対象としない)
1.パーキンソニズムがある.
2.脳CT又はMRIに特異的異常がない.
3.パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない.
4.抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる.
以上4項目を満たした場合,パーキンソン病と診断する(Definite).
 
なお,1,2,3は満たすが,薬物反応を未検討の症例は,パーキンソン病疑い症例(Probable)とする.
 
※1.パーキンソニズムの定義は,次のいずれかに該当する場合とする.
(1)典型的な左右差のある安静時振戦(4~6Hz)がある.
(2)歯車様強剛,動作緩慢,姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する.
※2.脳CT又はMRIにおける特異的異常とは,多発脳梗塞,被殻萎縮,脳幹萎縮,著明な脳室拡大,著明な大脳萎縮など他の原因によるパーキンソニズムであることを明らかに示す所見の存在をいう.
※3.薬物に対する反応はできるだけドパミン受容体刺激薬またはL-dopa 製剤により判定することが望ましい.

 
<重症度分類>
 
Hoehn-Yahr重症度分類3度以上かつ生活機能障害度2度以上を対象とする.
 
Hoehn-Yahr重症度分類

0度  パーキンソニズムなし
1度  一側性パーキンソニズム
2度  両側性パーキンソニズム
3度  軽~中等度パーキンソニズム.姿勢反射障害あり.日常生活に介助不要
4度  高度障害を示すが,歩行は介助なしにどうにか可能
5度  介助なしにはベッド又は車椅子生活

 
生活機能障害度

1度  日常生活、通院にほとんど介助を要しない.
2度  日常生活、通院に部分的介助を要する.
3度  日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能.

 
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状,検査所見等に関して,診断基準上に特段の規定がない場合には,いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって,確認可能なものに限る.).
2.治療開始後における重症度分類については,適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって,直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする.
3.なお,症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが,高額な医療を継続することが必要なものについては,医療費助成の対象とする.

参考資料) 指定難病 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 粗大にですが、上記のようにまとめさせていただきました.医療に携わる先生方にとっては当たり前の知識かもしれません.スポーツや健康産業に携わる方にとっても超高齢化社会においてPD病の患者様に出会う機会は多いはずです.

 各々の専門領域によって出来ることは違うと思いますが,同様の症状を呈している方を見かけられた場合は,ぜひ専門病院の受診を勧めてあげてください.

 当たり前ですが,早期発見・早期治療によりその方の健康寿命の延伸が可能です.

 治療 ⇔ 予防 は表裏一体であり,お互いに価値の高いものだと私は考えます.医療職(医師・理学療法士など)や健康産業(トレーナー・インストラクター)においても同様で,常に協力できる体制ができていることで,その地域に住まわれている方々の本当の意味での健康に寄与できるのではないかと日々感じています.

 ぜひこれからもかねこリハ研究会として情報発信できればと考えているので,よろしくお願いします.

PS. 大手前病院勤務時代に薬剤師さんと一緒に作成した【パーキンソン病に使用する薬】の資料があります.

会員限定ページにアクセスいただければ閲覧できるようにしていますので,ご参考になればと思います.

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